親権者は原則的には夫婦の話し合いによって決めますが、家庭裁判所の調停や審判によって決定する場合には、双方の事情と子の福祉を最大限に尊重したうえで、夫婦いずれが親権者としてふさわしいかを判断することになります。判断材料としては、健康状態や接する時間や環境、子の年齢によってはその意思など、実質的な材料が挙げられ、経済力などはあまり大きな意味を持つとはいえないようです。実際には母親が親権者になるケースが圧倒的に多いようです。
なお、親権者に病気などやむをえない事情がある場合には、家庭裁判所の審判を経て辞任することができます。また暴力や虐待など、親権を行使させるにしのびない事情がある場合には、親族や検察官・児童相談所長らの申し立てにより親権喪失を申し立てることができます。
離婚後300日以内に生まれた子は夫婦間の子(嫡出子)と推定され、母が親権者となりますが、出生後の話し合いで父を親権者にすることができます。300日以内の出生であっても夫以外の子であることが明らかだという場合には、前夫は地方裁判所へ嫡出否認の訴えを提起して争うことになります。300日以上経過して生まれた子は嫡出ではありません(非嫡出子)ので、母の戸籍に入り、母の氏を称することになります。
面接交渉権
親権者とならなかった側も親であることには違いありません。お子さんに対する愛情や思い入れも格別なものがあるでしょうし、お子さんもまた会いたがっていることでしょう。親子としてのこうした人道上の権利を親の事情で一方的に奪ってしまういわれはありません。何か特別な事情でもないかぎり、一定の条件のもと、会って束の間のひとときを一緒に過ごす権利があります。
その内容、すなわち時間や回数、日時、場所などは離婚の際に一緒に決めておくべきですが、この場合もしっかりと書面(できれば執行認諾文言付の公正証書)に残しておきましょう。話がまとまらなければ家庭裁判所の調停・審判という形で協力を仰ぐことになります。
面接交渉権 → 親権・監護権をもたない側が、双方話し合いのうえ、親として定期的に子に会うことを認められたもの
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