財産は分ける必要が
財産分与
夫婦は日常生活をともにして、財産の形成についてもその協力によってなしているものとみて、一方の名で取得した財産を除いて、結婚後に取得した財産はみな、その名義のいかんにかかわらず共有するものと推定されます。専業主婦であった場合でもいわゆる「内助の功」がご主人の収入に貢献しているものとして、一定の割合でその財産の分与を請求することができます。別居中の夫婦が請求する「婚姻費用分担請求」とは別のものです。具体的な金額は話し合いによって決めますが、決定した内容については後日の紛争を避けるため必ず書面に、できれば強制執行認諾文言をつけた公正証書に残しておくことをおすすめします。協議が調わないとか、協議ができないというときには家庭裁判所の調停で決めてもらうことになります。離婚をする以上、その原因がいずれにあったかを問わず、夫婦どちらからも請求することができます。
財産分与には婚姻中の財産関係の清算という側面と、婚姻解消後の一定期間の生活を保証するという扶養としての側面とがあります。それぞれの収入や状況に応じてその額や期間を定めます。なお、財産分与請求権は離婚のときから2年以内となっており、それ以降に請求することはできませんので注意が必要です。分与の対象となる財産は、預貯金や不動産などその形状を問いません。分与の割合については、夫婦共働きであった場合には半分ずつ等分が基本となりますが、専業主婦であった場合は家事労働の財産形成への貢献度により20%から50%の範囲内で決定されます。実際には慰謝料と一体として算定することも多いようですが、財産分与と名乗っていても慰謝料が含まれていると判断される場合には、別に慰謝料を請求することはできません。後日のトラブルを避けるため、その内訳についても明記しておいた方が無難です。
財産分与 財産関係の清算 + 一定期間の扶養
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ローン付きの不動産は
不動産など金額の大きいものは一方が取得して他方に差額負担したり、売却して金額で分けるという形が多くなると思いますが、ローン負担がある場合には債権者を交えてローンの引継ぎなど協議しなければなりませんので、事態は複雑になってきます。
たとえば、離婚によってローン付きの住宅を妻が取得した場合、ローンの名義も妻にしたいといっても銀行等の金融機関は名義変更になかなか応じてくれないのが現状のようです。そればかりか住宅の名義や居住者に変動がある場合には、期限の利益を失い、ただちに返済を求めてくる可能性があります。金融機関との交渉しだいで、ローン残額の一括返済とあらたなローンの申し込みをするなどの方法がありますが、相応の収入があるなどの条件をクリアする必要があります。
また、夫が取得した場合であっても妻が連帯債務者になっている場合、この債務を一方的に免れることはできません。夫に確実に債務を履行してもらい、妻に一切迷惑がかからないよう、公正証書に記載させるなどの対応が必要になってきます。
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